遠藤やすひろ

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日々是ものづくり

なんちゃってサワードゥ

 今回も「パン作り」ネタです。「パン作り」の何が面白いかというと、材料の分量、温度や時間の管理などに正確さが求められる一方で、イースト菌や酵母など「生き物」の反応に対する臨機応変さも求められるところです。そして、このバランスが「ものづくり」心をくすぐるのです。特に自家製酵母は、発酵力にばらつきがあり、発酵自体もゆっくり進むので、育てている感がバッチリあります。「生き物」相手なだけに、偶然の産物もあったりするのですが、今回紹介する「なんちゃってサワードゥ」もそんな偶然の産物のひとつなのです。

 そもそも「サワードゥ」って何?というお話から。

 サワードゥは、イースト菌や前回紹介した酵母などと同様、パンの発酵工程に必要なものです。「サワードゥ」を使ったパンを作るためには、まず初種を作成するところから始まります。ライ麦粉に水を混ぜ、ライ麦粉に付着した酵母によって発酵させます。その後、数日かけてライ麦粉と水を継ぎ足して生地を酸化、熟成させて初種が完成します。この初種を元にパンに合わせたサワードゥを作るそうです。

 じゃあ、なんで「サワードゥ」なんて使うの?というと、ライ麦はグルテンを十分に含んでいないため、イースト菌を使った製法では生地が膨らみません。なので、ライ麦粉の割合の多いパンは、この「サワードゥ」を使った製法で作られるそうです。

 さて「サワードゥ」が何なのか、何となくわかったところで、次は「なんちゃってサワードゥ」のお話です。出会いは、ヨーグルト作りの失敗がきっかけでした。
 普段私は、牛乳から自家製のヨーグルトを作っているのですが、あるとき発酵させていることを忘れてしまい、通常の倍以上の時間、発酵させてしまいました。当然、ヨーグルトは過発酵で、酸っぱく発泡してしまいました。しかしそれを見て私は「これって発酵エキスになるのでは?」と考え、準強力粉と同量で混ぜ合わせたところ、独特の香りと酸味のある前種ができました。

 その前種で作ったパンを友人に試食してもらったところ、「サワードゥのパンみたい」という感想を複数の方からいただきました。自分では全くそんなつもりはなかったのですが、考えてみると「サワードゥ」と似たような特徴を持ち得るのです。これぞ偶然の産物!
 最初に説明した方法で「サワードゥ」を作るとすると、かなりの日数がかかってしまいますが、この作り方なら、発酵エキスさえあれば、1日~1日半で焼成可能です。しかし、伝統的な製法は無視してしまっているので「なんちゃって」なわけです。

 というわけで、最近、焼く頻度が急上昇のこのパンの作り方を紹介いたします。

材料(2個分)
前種
 準強力粉 100g
 発酵エキス 大さじ1
 ヨーグルト 発酵エキスと合わせて100g
準強力粉 125g
ライ麦粉 25g
ヨーグルト 50g
塩 5g
オリーブオイル 10g

 発酵エキスは、果物やヨーグルト、酒粕などから作ることができますが、やはり一番作りやすいのはレーズンでしょうか。煮沸消毒した瓶の中に水とレーズンを入れて、発酵エキスを作ります。

1. 準強力粉100gをボウルに入れ、発酵エキス(作りやすいのはレーズン)とヨーグルトを加える。
2. ゴムべらで粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせる。
3. 軽くまとめてボウルにラップをかけて室温で発酵させる。
 発酵時間は季節により変わりますが、目安としては一晩。
 気温の高い夏場は、冷蔵庫の野菜室を利用してもOK。
 逆に気温の低い冬場は、最初に30℃の環境に1時間程度おいてから室温で発酵させた方が早く発酵が完了します。
4. 2~3倍程度に膨らみ、表面に泡が立ってきたら前種の完成。
【生地を作る】
1. 前種に準強力粉、ライ麦、塩、ヨーグルトを入れて混ぜ合わせ、ひとまとめにする。
2. 生地を台の上に出して、約8分捏ねてボウルに戻す。
3. オリーブオイルを加えて、油分が全体に馴染んで滑らかになるまで捏ねて、ひとまとめにする。
4. ボウルにラップをかけて室温で一次発酵させる。発酵については【前種を作る】を参照。
【分割する】
5. 一次発酵が終わったら、生地をボウルから台に移し、2分割して丸める。
6. ベンチタイム15~20分。
【成形する】
7. 丸めなおし、ライ麦粉(分量外)をまぶす。
8. 太めの菜箸で2分割するように真ん中をへこませる。
9. 生地を裏返し布取りして、30℃で45分間成形発酵させる。
10. オーブンシートを敷いた天板に表に返した生地を載せ、茶漉しでライ麦粉(分量外)を降る。
11. 8.と同様に真ん中をへこませる。
12. 220℃で25分焼成する。

4個の「なんちゃってサワードゥ」

 パン作りの基本手順などは高橋雅子さんの本を参考にしています。

~こんなに簡単だったんだ!マイペースで楽しく続けられる~
「自家製酵母」のパン教室

 次回(2/2)は、何の話題にしようかな?、、、お楽しみに!